「好き」で終わりたくない…英語の魅力を伝える教育者に
――KECの塾講師になるまでの経歴を教えてください。
大学では、外国語学部で言語とコミュニケーションを専攻しました。教員免許の科目も履修していましたが、当時は「先生になりたい」よりもむしろ、「英語を使って活躍できる場」を探していました。
卒業後は子ども英会話スクールに就職。営業職として働くなかで、英語を教える要素が少ないことに、もどかしさを感じていました。より教える要素の強い仕事に就きたいと考えるようになり、転職を決意します。
私は「英語が好き」という気持ちを、単なる「好き」で終わらせたくありませんでした。言語の習得は早い段階から始めることが重要です。小学生のうちから英語の楽しさを伝え、その子が中学生、高校生になったときにどう成長していくのかを見守れる環境を探していました。
学校教員になることも考えましたが、それだと担当できる学年が限られてしまいます。KECなら小学生から高校生まで幅広い学年を教えられる環境があり、営業経験も活かせます。何より、生徒のためになることであれば、どんなことでも実現できる自由な社風に魅力を感じました。
塾講師の仕事に求められる2つのスキル
――現在のお仕事内容や役割を教えてください。
塾講師で大切な仕事は2つ。ひとつは授業ができること。もうひとつは教室管理です。実は、仕事の中で授業が占める割合は2割程度です。ただし、この2割は全てに影響する重要な要素。授業が上手で面白い先生ほど、生徒から信頼されるからです。
KECでは「学校やほかの塾では学べない面白さ」を提供することを大切にしています。例えば、中学英語の「be動詞」などの基本的な文法でも、どう教えれば楽しくかつ高校英語にもつながる要素を含められるか。そういった工夫を常に心がけています。
残りの8割は教室管理に関する仕事です。生徒の状況を把握し、保護者と密にコンタクトを取り、必要に応じて補講を行うなど、生徒一人ひとりに寄り添った指導を行います。授業だけでは伝えきれないことも、別の機会を設けて指導しますし、生徒が自主的に勉強に取り組める環境づくりも重要な役割です。
――入口となる小学生の英語指導では、どのような工夫をしていますか。
最近の小学生は、学校などでも英語に触れる機会が増えているので、まずは知っていることを認めて褒めることを重視します。その上で、KECでは小学生のうちから少しずつ書く練習も行います。これは中学校で英語が教科になったときにスムーズに移行できるようにするためです。
また、生徒は授業で習った単語を日常生活で見つけたときの喜びを人に共有したり、その発見を保護者の方に伝えたりするんです。そのようなお話が保護者の方からあると、英語コミュニケーションの本質的な楽しさを実感してもらえていると感じます。生徒が「英語の時間が楽しみ」と思えるような授業づくりを心がけています。
先輩から後輩へ。現場のノウハウを伝える
――未経験からどのように教えるスキルを身につけていったのでしょうか。
KECにはもともと、先輩講師からどんどん学びやすい環境があります。私は先輩の授業を見学したり、電話をかけて授業で使える「ネタ」を教えてもらったりしながら、メモを取ってひたすら実践していました。
最近は教える側なので、デジタルツールを活用して研修を進めています。授業動画を撮影し、YouTubeの限定公開URLやZoomで後輩の先生に共有することで、リアルタイムで効率的に教えられます。
指導の際、私が重視しているのは、KECならではの授業の作り方です。新人の先生が授業計画を立てる際には必ず、「学校の授業との違いは何ですか?」と質問します。単に教科書の内容を教えるだけでなく、KECでしか得られない「学びの面白さ」を提供してほしい。このレベルをクリアするには、現場で活躍する先輩の先生に授業計画のノウハウを相談して、ブラッシュアップしていくしかないので、自然と縦のコミュニケーションもできていきますね。
また、教室管理の面では、担当する生徒一人ひとりの目標設定ができる先生になることを重視しています。「次のテストで何点を目指すのか」だけでなく、「そのために何をすべきか」まで落とし込んで考えられる指導ができるよう、アドバイスしています。
学ぶ喜びを知っている人に向いている仕事
――どのような方がKECの講師に向いていると感じますか。
自分が学ぶことを楽しめる人だと思います。塾講師は、授業の仕方、生徒指導、保護者対応など、学ばなければならないことが山積みです。そんななかで、自分の小さな成長を喜べるか。「この単元が教えられるようになった」「あの生徒の目標が見えてきた」といった、小さな1歩を自分の糧にできる人です。
実は私、最初は子どもが苦手だったんです。でも、「英語の面白さ、コミュニケーションの楽しさを伝えたい」と奮闘するうちに、いつの間にかそんな思いは消えていましたね。この仕事をしていると、日々さまざまな課題に直面します。そのときに「面倒くさい」で終わらず「これも大事なんだ」と、自分の成長につなげられる人が長く活躍できると感じています。
――未経験から塾講師を目指す方へ、メッセージをお願いします。
「生徒のためになることなら何でもできる」、それがKECの一番の魅力です。例えば、生徒のために補講をしたいと提案すれば、すぐに実現できます。こうした自由度の高さは、教育に対する熱意がある人にとって、大きなやりがいになると思います。
また、キャリアアップの機会も豊富です。私は3年目で所長になりましたが、最近では1年で所長になった方もいます。年功序列ではなく、やる気と実力で評価される環境があります。
大切なのは、教科の専門知識以外に、人に興味をもち、常に学び続ける姿勢をもっているか。この仕事は、単なる教科指導ではありません。生徒一人ひとりの成長に関わり、その過程で自分も成長できる、やりがいのある仕事です。「生徒のために何ができるか」を考え、実行に移せる人であれば、未経験だからといって躊躇する必要はありません。学ぶ意欲さえあれば、必ず道は開けると思います。