ほど良い距離からの巧みな指導で生徒の成長を支える。さまざまな経験から見つけた、塾講師という天職

親戚の子どもに宿題を教えた経験から、教育の楽しさと意義を実感し、それ以来、生徒一人ひとりの成長を支えながら、自らも進化を続ける塾講師としての道を歩んできた小西先生。国語の魅力を伝える工夫、年齢に応じた柔軟な指導、保護者との丁寧なコミュニケーションなど若くして情熱をもち働かれています。今回は、前職での広告業界の営業スキルを活かして活躍している小西先生に、教育現場のリアルとやりがいを語ってもらいました。


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教育への興味はさまざまな経験を経た偶然から

――大学卒業後、KECに入社するまでのヒストリーを教えてください。

龍谷大学の文学部仏教学科で学び、卒業論文では空海について研究。在学当時、教員免許の取得も考えたのですが、最終的には市役所の臨時職員として就職しました。そんななか、ある夏休みに、親戚の子どもの宿題を教える機会があったんです。それが思いのほか楽しく、やりがいを感じたので、教育業界を視野に入れて転職活動を始めました。

個別指導塾で3年ほど中学生を教えました。中学生はある程度大人です。先生として引っ張っていく立場ではありつつも、チームのように二人三脚で頑張り、結果が出たときに一緒に喜べる、それが教育の良いところだと感じました。

その後、広告会社での営業や制作の仕事を経て、再度転職活動をしていたときに、KECと出会いました。以前の個別指導の経験をプラスに評価してもらえたこと、何より人事担当の先生の熱意に動かされ、入社を決めました。

幅広い業務と丁寧な指導

――今はどのような業務を担当していますか。

担当教科は国語です。塾の先生というと、仕事のメインは授業というイメージが強いですが、案外そんなことはないんです。もちろん授業とその準備が一番大切なのですが、仕事に占める割合は3分の1くらいでしょうか。生徒の面談やケアにはじっくり時間を割きたいですし、ほかにも新規募集のための活動など、さまざまな業務があります。学校帰りの学生にチラシを配ったり、キャンペーンを在校生に宣伝したり、新規の方向けの説明会や体験授業を実施したりと、KECを代表する1人として大切な場面も多いですね。

また特に大切にしているのは、保護者の方とのコミュニケーション。これは前職での営業経験が活きていると感じています。塾でも広告でも、目の前の人の課題解決に向けてしっかり伴走するという点は同じなので、安心して頼っていただけるような誠実な対応を心がけています。

――国語を教える上で心がけていることはありますか。

小学生の授業では、最初に「国語ができる人ってどういう人だと思う?」と投げかけるんです。生徒からは「漢字をいっぱい知っている人」などの答えが返ってきます。その中で私が話すのは「人の話をちゃんと聞いている人」という部分です。

作者が何を話して、どういったことを伝えようとしているのかに気づき、その意図をくみとれる人。それが本当に国語ができる人だと思います。生徒一人ひとりの理解が深まるように促すことを、特に意識して授業を進めています。

実際に国語力の大切さがわかるエピソードがあります。あるとき、中学生の生徒が、私のところに数学の質問を持ってきたんです。教科は違いますが、中学生なら教えられます。一緒に取り組もうと、何気なく文章題を声に出して読んだところ、それだけで、生徒が「あ、わかりました」と。数式の問題以前に、文章題の内容自体をきちんと読めていなかったのが、文字を追って音読したことで、文意を理解できたのでしょう。「いや、まだ何も教えてないよ」と笑ったのですが、これは読むことの大切さを痛感した場面でした。

年齢や個性に合わせた指導で、確かな成長を

――小学生から中学生まで幅広い年代を担当していますが、年齢によってどのように接し方を変えていますか。

小学生の授業では、「半分は楽しんで来てもらう」という気持ちで接しています。もちろん基礎の部分はしっかり指導しますが、真面目すぎると勉強感が強くなってしまい、飽きてしまう子も。子どもが嫌いな野菜をカレーに細かく刻んで混ぜるような感じで、楽しみながらも大事なことは確実に伝わるよう工夫しています。

実際、その効果を実感することもあります。中学生になって受講を続けている生徒が「それ、5年生のときに言ってたよね」などと言ってくれることがあるんです。さりげなく伝えたつもりの情報が、何年経っても生徒の中に残っている。そういうときは本当に嬉しく感じます。

一方、中学生には、「今の3年生はこういうことで困っているよ」「2年生のときにこういうことをしておけばよかったって言っているよ」などリアルな話もします。授業の合間に雑談のような形で、ときには少し怖い話も含めて伝えることで、生徒たちに受験を自分事として捉えてもらいたい。一見聞いていないような様子でも、実はちゃんと聞いてくれているものです。

適度な距離感が育む信頼関係

――塾講師という仕事ならではの魅力はどのような点でしょうか。

学校の先生は、毎日朝から夕方まで一緒に過ごす、お父さんお母さんに近い存在なのではないでしょうか。それに比べて、塾の先生は、週に何回か会う親戚のお兄さんのような距離感だと感じています。

学校での生活面の指導などはもちろん大切ですが、塾の先生は「勉強を教える」という一点に集中できます。生徒も前向きな気持ちで来てくれていますし、気に入らなければ辞めることもできる中で、通い続けてくれているわけです。いい距離感で関係性を築けるのが、塾講師の魅力だと思います。

――KECで働く良さはどんなところにありますか。

社員同士のコミュニケーションが取りやすい環境は心強いですね。私より立場も年齢も上の先生方とも話しやすく、意見を求められても言いやすい雰囲気があります。指導研究会議が定期的に行われるなど、各校舎での情報共有が活発なことや、さまざまな地域で展開していることも強みだと思います。

――これからどのような先生を目指していきたいですか。

最近は、国語の学科長を務めていた先生の仕事を少しずつ引き継いでいく立場になっています。まだまだ周りの先生方に支えていただきながらという段階ですが、これからはもっと国語科としての発信をしていきたいと考えています。

中高生になると、英語や数学がことさら重視される傾向にありますが、ベースとしての国語の必要性や授業を受けることの意味をしっかりと伝えていきたいですね。そのためにも知識を深めながら、より説得力のある先生になれるよう努力していきたいと思います。